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  • 村田真生

吉本興業/宮迫さんらの謝罪会見で露わになった『芸能界の慣習』



今回は「宮迫さんら吉本興業所属芸人の闇営業/引退騒動」について、芸能界でプレイヤー/経営者として関わっていた者として個人的見解を述べたいと思います。※芸能界の裏話にも触れます。


まず、宮迫さん/田村さんの謝罪会見、素晴らしかったですね。


1. 責任転嫁をしない

2. 記者の誘導質問に乗らない

3. 感謝と後悔を伝える


謝罪はこの1〜3を満たしていれば完璧。宮迫さんらは全て満たしている見事な謝罪会見でした。

それに対し、岡本社長の謝罪会見は・・・うーん、残念でした。




さて、本件では吉本興業/芸人の方々が叩かれていますが、闇営業については芸人の世界に限った話ではありません。

俳優/モデル/タレント/ミュージシャンなど芸能界の職種はたくさんありますが、いずれも上にいけばいくほど闇の度合いが濃くなります。


実際に反社会的勢力(以下「反社」)との長い歴史も存在します。もちろん、全ての芸能事務所が繋がっているわけではありませんし、昔と比べればかなり関係は薄くなっているとは思いますが、まだまだ完全に切り離せていないのだなということが、この件で明らかになりましたね。




そんな中、世間では反社排除の動きが非常に活発化しており、例えば企業で反社と関わりがあるということが表沙汰になると、行政や一般企業が取引に応じてくれなくなるというのももちろんですが、銀行の口座が凍結される恐れもあります。そうなれば致命的ですよね。


先日、吉本興業が「全ての所属芸人に反社との関係排除に関する誓約書を書かせる」と発表しました。

これによりどんな効果があるかというと、もし今後また所属芸人が反社と関わりを持ったという事実が表沙汰になった際に「誓約書を交わしていたので、芸人が当社に対して関係を偽っていた」として銀行などへ釈明ができるようになります。


会社を外的要因から守るという点ではある意味正しい行動と言えますが、吉本興業などの芸能事務所の場合、語弊があるかもしれませんが、自社の商品がイコール「芸人」なわけですから、その商品に汚れや不備があるのだとしたら、その場で切り捨てるのではなく、企業側としてきちんと反省をして、一度リコールをして、また一から教育・磨き直してあげるという努力が必要かと思います。

(会見を見た限り、少しずつではありますが実現しそうですね。)




ちなみに、会社と芸人との間で「契約書」が交わされていないことや、若手芸人の報酬額の少なさについてもかなり批判が集中しているようですが「これは致しかたがない事案」かなと思います。

というのも、批判をするのであれば、吉本興業だけではなく、表沙汰になっていないだけの他の多くの芸能・音楽事務所にも矛先が向かうことになるからです。


良い例が劇団四季です。役者が食べていける劇団として有名ですが、実際は、本番に出ないと報酬が出ないため、稽古期間中は一切給料が出ませんし、残業という概念ももちろんありません。そして何よりも、吉本興業と同じく役者とは雇用関係もないので、1日2日の指令で全国あちらこちらへ飛ばされたり、突然劇団を追い出されるということも多々ある世界です。


また、芸能事務所の手数料(マネジメント料)というのは、小さな事務所でだいたい20%〜が多く、組織が大きければ大きいほど社員を抱えていたり、ブランディングのために事務所を港区界隈など家賃の高いところに置くことが多いので、営業力の強化や固定費をまかなうためにマネジメント料を40%~80%くらいに設定しているところもあります。


プレイヤーにとっては、一生懸命頑張った末に何十%も天引きされるのは痛いですが、経営者にとっては、それぐらい取らないと、会社の維持/教育/宣材作成等の経費負担/営業力の強化ができず、会社としてジリ貧になってしまいます。




このように、芸能界は一般企業に比べ業界全体のコンプライアンス/モラルが欠如しており、ビジネスモデルそのものが不安定かつ「人が商品」であるがゆえに、マネジメントが非常に難しいのです。

そのため、一般企業/一般常識では考えられない、また、一概に答えが出せない複雑な契約形態/労働環境が成立しているわけです。




しかし、これが良いか悪いかは別として、今槍玉にあげられている吉本興業の対応次第では、今後業界全体に何らかのメスが入ってしまう恐れがあるのではないかと思います。


今や一般のインフルエンサーの方々が大活躍している時代ですから、このままでは芸能界のこれまでの基盤が大きく崩れ落ちるフェーズに差し掛かっている気がします。


それではまた。